『1775年4月19日』に現代世界史が始まった。つまり、国民国家の夜明けを迎えた。夜明け前のヨーロッパは、どんな世界だったのだろうか?
1415年8月21日にポルトガルがセウタ(ジブラルタル海峡に面するアフリカ北岸の都市)を攻略して、ヨーロッパ諸国による外洋を越えた侵略と植民地化がはじまってから300年以上経っていた。また、1756年から1763年まで、イギリス(連合王国グレートブリテン)・プロシア王国(ホーエンツォレルン家)・ポルトガル王国と、フランス王国(ブルボン家)・オーストリア大公国(ハプスブルク家)・ロシア帝国(ロマノフ家)・スペイン王国・スウェーデン王国が世界大戦を戦っていた(七年戦争)。
岡田英弘氏が指摘するように、「アメリカ独立以前の世界には、政治形態としては君主制と、ヴェネツィアやフィレンツェのような自治都市しかなかった。【中略】君主制の時代には、国民というものはまだなかったし、国境というものもまだなかった。自治都市に至っては、少数の貴族の合議制であって、やはり国民全部の意思の表現ではなかった。」わけだが、ヨーロッパには上記のような意味での国が多数あった。
主要な国だけで、以下のように20カ国が挙げられる。革命戦争は、まずアメリカ大陸で起こり、飛び火してヨーロッパで起こった。国がひとつもなかったアメリカ大陸と、周りに19カ国がひしめき、その多くが王公国であった中で、大国フランスの国王ルイ16世が処刑されたヨーロッパとでは、革命戦争の波及効果が全然ちがったものになるのは当然だった。
イギリス(連合王国グレートブリテン)
ヴェネツィア共和国
オーストリア大公国(ハプスブルク家)
オスマン帝国
教皇領
サルデーニャ王国(サヴォイア家、後のイタリア王国)
ジェノヴァ共和国
スイス連邦
スウェーデン王国
スペイン王国
デンマーク=ノルウェー二重王国
トスカーナ大公国
ナポリ王国
ネーデルラント(オランダ)連邦共和国
パルマ公国
フランス王国(ブルボン家)
プロシア王国(ホーエンツォレルン家、後のドイツ第二帝国)
ポーランド・リトアニア共和国
ポルトガル王国
ロシア帝国(ロマノフ家)

参照文献:岡田英弘「歴史とはなにか」文春新書
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