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日米2プラス2に関する隣国PRCのコメントを確認しておこう。

執筆者の写真: 四々縦七四々縦七

更新日:2021年3月25日

日米2プラス2について、ピープルズ・リパブリック・オブ・チャイナ(中華人民共和国、People's Republic of China。以下、PRCと略す。)外交部のジャオリジャン(Zhao Lijian、趙立堅)外交部報道局副局長が3月18日に定例会見でコメントしました。


PRCから日本に対する最新のメッセージです。PRCが日本に対してどの様に考えているのか、簡単に確認しておきましょう。コメントは6つのポイントからなっていますが、3番目と5番目だけを取り上げます。全文は人民網日本語版で読むことができます(外交部「米日は対中国『小集団』の形成を直ちに止めるべき」)。


以下の抜粋を読んでみましょう。まず、「尖閣諸島はPRCの領土だ」と明言しています。PRCは日本の領土を自国の領土だと主張しているのですね。そして、その位置付けは、ウイグル自治区、香港、南シナ海および台湾と「同列」です。PRCによる台湾侵攻は現実の危機であり、PRCによる尖閣諸島侵攻も同じレベルの眼前に迫った危機である、ことが読み取れます。


次に「米日が徒党を組んで悪事を働いている」と言っていて、最後に「中国を中傷し、中国のイメージを毀損している」と言っています。シンプルに日本は悪い奴(国)でウソツキだ、とPRCは認識しているということです。いずれの評価も、この文章を読む限りでは根拠に欠けますが。


普通に考えると、自国の領土を奪う意図を持ち、根拠なくワルモノ・ウソツキと決めつける隣国と「なかよく」することは難しいでしょう。PRCがこう言っているのですから、日本もPRCと「なかよく」しようとする様な意味不明な努力はやめても良いと思います。また、次にPRCが何事もなかった様に「なかよくしましょう」とか「国家元首を来日させたい」と言ってくることがある様なら、この件を持ち出して真意を確認する必要があるでしょう。


もちろん隣国であることはやめられませんし、経済的なつながりがあるのも事実ですから、互いの利害関係を調整する淡々とした外交関係が維持されれば十分でしょう。「なかよく」することをやめるだけで、日本とPRCとの外交は正常化される余地がたくさんあると思います。

第3に、台湾地区、香港特別行政区関連、新疆維吾爾(ウイグル)自治区関連、南中国海、釣魚島(日本名・尖閣諸島)等の問題における中国の立場は一貫した明確なものだ。国家の主権・安全・発展上の利益を守る中国の決意と意志は盤石だ。中国は南中国海諸島及びその周辺海域、釣魚島及びその附属島嶼に対して争う余地のない主権を有する。米国は本土から南中国海まで8300マイル以上離れているのに、年中軍用機や軍艦を派遣して南中国海で軍事演習や接近偵察を行っている。武力を誇示し、脅迫しているのはまさに米国のほうだ。台湾地区、香港特別行政区関連、新疆ウイグル自治区関連の問題はいずれも中国の内政であり、外国の干渉は許さない。米日共同声明はこれらの問題の歴史的経緯を無視し、事実と真相を顧みていない。これもまた、米日が徒党を組んで悪事を働き、中国の内政に干渉していることの明白な証拠であり、中国を中傷し、中国のイメージを毀損していることの悪質な例証に過ぎない。

次は5番目のポイントです。PRCは日本のことを「アメリカの属国」と呼んでいます。シンプルに失礼な発言ですね。


短い文章ながら、他にも「ツッコミどころ」満載なのは捨て置くとして、自国のことを「属国」と言って憚らない隣国との関係はいかにあるべきかという議論をするべきでしょう。1978年8月12日の日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約(1978年10月23日発効)の調印以来ずっと、日本とPRCとの関係は「日中友好」と表現されますが、相手を「属国」呼ばわりする国との友好関係ってあり得るのでしょうか。

第5に、日本は中国の台頭と復興の阻止という利己的目的を満たすため、米国の顔色をうかがって戦略的属国となることに甘んじ、信義に背いて中日関係を損なうことを辞さず、地域全体の利益を売り渡すことも辞さない。このようなやり方は誰からも相手にされないし、人々の支持を得られない。

PRCとの外交関係をどうするべきか?と考えると難しいこともいろいろ出てくるかと思いますが、まず大事なことはPRCのやっている事、言っている事を正しく見聞きして覚えておく事です。


個人の生活における交友関係や人付き合いというのは難しく、誰しも悩みの種かと思いますが、特定の相手と親しくするのか、距離を置くのかという判断は難しくても、その相手の行動や言動を冷静に観察することは比較的簡単にできるはずです。国際関係にも似た様な要素はあるはずで、「へえ、PRCはそういうこと言っちゃうんだあ。」という観点を忘れないことは重要だと思います。


以下は、2021年3月16日に開催された日米安全保障協議委員会(2+2)の共同発表(仮訳)からの抜粋です。ご参考まで。仮訳全文および英文は外務省のホームページで読むことができます。

日米は、中国による、既存の国際秩序と合致しない行動は、日米同盟及び国 際社会に対する政治的、経済的、軍事的及び技術的な課題を提起していることを認識した。閣僚は、ルールに基づく国際体制を損なう、地域の他者に対する威圧や安定を損なう行動に反対することを確認した。閣僚は、自由かつ適法な通商への支持、航行及び上空飛行の自由並びにその他の適法な海洋の利用を含む国際法の尊重を再確認した。閣僚はまた、中国海警法等の最近の地域における混乱を招く動きについて深刻な懸念を表明した。さらに、閣僚は、日米安全保障条約第5条の下での尖閣諸島を含む日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントについて議論した。日米は、現状変更を試みる、あるいは、尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとする、いかなる一方的な行動にも引き続き反対する。閣僚は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調した。閣僚は、南シナ海における、中国の不法な海洋権益に関する主張及び活動への反対を改めて表明し、1982年の国連海洋法条約の下で設置されたフィリピンと中国との間の仲裁裁判所の2016年7月の判断が最終的であり、当事国を法的に拘束することを想起した。閣僚は、香港及び新疆ウイグル自治区の人権状況について深刻な懸念を共有した。
 
 
 

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